テクニカルライティングと
技術翻訳の秘訣(増補版)
第3章 テクニカルライティングのテクニック
本章では、テクニカルライティング上のテクニックついて、例を挙げながら詳しく解説します。
3.1 冠詞
日本人が英語を学ぶときにやっかいなのが冠詞です。日本語には冠詞の概念が無いのがそもそもの原因ですが、これを征服しない限り、英語のライティングは出来ません。
文法の教科書には何やらルールらしき物が書かれていますが、実際に自分で英文を書いてみると迷うことだらけでしょう。

以下が基本的な冠詞の定義です。

定冠詞 限定的な物、他の物では代用できない物につける。単数でも可、複数でも可。
不定冠詞 他で代用のきくもの、どれでも良いから一つ。複数は不可。
無冠詞 定冠詞でも不定冠詞でもないもの。冠詞をつけても意味がない、または不要なもの。

次の文章を考えてみましょう。

Using a suitable bait is one of the secrets of successful angling, whether you are fishing for carp in a small pond or marlin in a tropical ocean.

a suitable bait 魚を釣るためにふさわしい餌は色々とあるが、どれか1つという意味で不定冠詞。
the secrets 魚を釣るための秘訣。試験に合格するための秘訣でも、金儲けの秘訣でもない。代用がきかないので定冠詞。
successful angling 冠詞をつけても意味がない。
a small pond, a tropical ocean small pond, tropical ocean であれば別にどこでもかまわない。よって不定冠詞。

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