テクニカルライティングと
技術翻訳の秘訣(増補版)
技術翻訳の秘訣(増補版)
4.15 ソレノイド
電気回路、空気圧回路、油圧回路等によく出てくるソレノイドという言葉は、ほとんどの場合、solenoid valve のことです。ソレノイド (solenoid) とは筒型に巻いたコイルのことです。ソレノイドコイル (solenoid coil) とも言います。ソレノイドに電流を流せば電磁石になります。
このソレノイドを適当なケースに収め、中に鉄心を入れ、鉄心の先にバルブ(弁=valve)をつけて、電磁石の力で弁の開閉をする部品をソレノイドバルブ(電磁弁=solenoid valve)と呼びます。
マニュアルなどの技術文書では、ソレノイドバルブのことをソレノイドと省略することが多くあります。しかしソレノイドとは中に入っているコイルのことなので、英語の訳としては solenoid valve としなくてはなりません。しかしまれにコイル自体を指していることもあるので、この場合は solenoid と訳します。
これは一見翻訳者の責任範囲外のことで、原稿作成者がしっかりしてもらわないと困る、と思うかもしれません。確かにここら辺が日本のテクニカルライティングの遅れている点で、責任は原稿作成者にあります。
しかし現在の翻訳業界では、日本語のソレノイドを solenoid valve と solenoid に訳し分けるのは翻訳者の仕事です。そしてこれができる人が優秀な翻訳者ということになります。
技術翻訳のトランスワードが発行している書籍「テクニカルライティングと技術翻訳の秘訣(増補版)」の一部を掲載しています。
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