技術を学ぶ翻訳者養成講座
【翻訳技術編】
【翻訳技術編】
7.3 否定形より肯定形
日本語で書かれたマニュアルの場合、「何々しないでください」「何々はだめです」という否定形、ネガティブな言い方をすることが多いのですが、英訳する場合はなるべくネガティブ、否定形は使わないでください。
否定形でないほうが、インパクトがあってメッセージがよく伝わります。なるべく否定形を使わない工夫をしてください。
否定形でないほうが、インパクトがあってメッセージがよく伝わります。なるべく否定形を使わない工夫をしてください。
たとえば、通路に電話線やビデオカメラの電源線がたくさん置いてあったとします。「ケーブルを通路に置かないでください」と言うとき、否定形のまま英語にすると、下記のような文章になります。
Do not place cables in the way.
でも、英語では普通こういうふうには書かないですよね。
Place cables out of the way.
こう書きます。
Do not を使わない表現を意識しましょう。そうすると頭の中にスッと入ってきます。否定形は使わないで、「これはこうしなさい」というほうがより具体的です。では、どうすれば否定形を使わなくてすむのでしょう。
「禁煙」もよくある例ですね。否定形だと Do not smoke. ですが、肯定形にすると Refrain from smoking. になります。
「芝生に入るな」も普通は Keep off the grass. と言いますが、訳そうとするとどういうわけか Do not を使ってしまうのです。
Do not を使わないで肯定形にする工夫をすれば、英語としては非常にスムーズな、インパクトのある良い文章が作れます。
否定形を使わないテクニックとしては、Avoid、Keep から書き始め、命令形にします。この2つの単語は非常に便利な単語です。
否定形を使わないための道具として使ってください。
技術翻訳のトランスワードが発行している書籍「技術を学ぶ翻訳者養成講座【翻訳技術編】」の一部を掲載しています。
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