技術を学ぶ翻訳者養成講座
【工業技術編】
【工業技術編】
5.1 ショートとオープン (short circuit and open circuit)
電流が正規のルートを通らず、近道をしてしまうことを「ショート」するといいます。左側の図の例のように、例えば電球の手前の2本の電線をねずみがかじってしまい電線が電気的に接触した場合、電流は電球には流れず、接触した電線を通って電池の (−) 側に帰ります。この状態を「回路がショートしている」といいます。
右側の図の場合、ねずみが1本の線を噛みちぎったので電流が流れない状態になっています。この状態では、スイッチを入れても電球は点灯しません。この状態を日本語では「断線している」、または「回路が開 (カイ) になっている」といい、英語では The circuit is open. といいます。
断線をそのまま言葉として英訳すると cut wire, wire disconnection などが浮かんできます。しかし、日本語で「回路の断線」と表現する場合、電線が途中で切れているとき、電球が切れているとき、電線とスイッチなどとの結線がはずれているときなど、回路内で電流が流れなくなる状態の全てを意味します。よって断線に相当する英語は open circuit となるので注意が必要です。
短絡 (short circuit) | 断線 (open circuit) |
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ショートして抵抗がなくなると、電流の流れすぎから熱が発生し火事になることもある。電流が流れすぎるのを防ぐため、電流が流れすぎると溶断するヒューズやブレーカーなどをつける。 | ・Open circuit(断線。回路がどこかで切れている)の原因 ・ switch failure (スイッチの不具合) ・ burnt-out bulb (ランプの球切れ) ・ wire breakage (ワイヤ断線) ・ wire disconnection (ワイヤの外れ) |
技術翻訳のトランスワードが発行している書籍「技術を学ぶ翻訳者養成講座【工業技術編】」の一部を掲載しています。
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