荒井邦彦 著 「翻訳しようⅡ」
2.4 関係代名詞を自然に訳す (英⇒和)
英文法で関係代名詞をよく研究していても、日本語に移す場合にぎこちなくなる方がいます。
例題 A seasonal employee of the Company who may have actually handled any of the asbestos-related products should …

これを、
1. 「これまでにアスベスト関連商品を取扱った可能性のある、会社の季節従業員」と書いて省みない方がいます。これだと「取扱った可能性のある会社」と読めてしまいます(いくら「、」がついていても)。

では、どうしたらよいでしょうか。
2. 訳し下す方法。関係代名詞で大きく反転させず、そのまま前に進みます。
「会社の季節従業員で(の中で)、これまでにアスベスト関連商品を取扱った可能性のある者」。
ちょっと気をつける点は、「〜の従業員で、〜の従業員」と繰り返すのは拙劣ですから、後者は「者、方、人」などのうち何か適切な語を置きます。

3. 条件に訳す方法。言い換えると、関係代名詞を副詞節のように扱う方法です。
「会社の季節従業員が、これまでにアスベスト関連商品を取扱った可能性がある場合には」。
類題 Children under six years of age [who are] accompanied by an adult can enter the facilities and stay there until 16:00.
「当施設は、6歳未満の子供でも大人の付き添いがあれば、入場して午後4時まで利用することができます」。

4. カッコ書きする方法。
「会社の季節従業員(これまでにアスベスト関連商品を取扱った可能性のある者)」。
少し硬い文調になりますが、意味は正確に取れます。原文にカッコがないのですが、必要があれば訳文にカッコをつけてください。こういうことは、大胆にやって構いません。

他のパターンもありえることでしょう。どれを選ぶかは、文書の全体の流れを考えて決めてください。ただ、1. の行き方は、かなり不自然です。

まとめ − 関係代名詞の和訳。
[1] 訳し上げる。[2] 訳し下す。[3] 条件に。[4] カッコ表記。読みやすく、また状況に合わせて工夫する。

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